recokin's room



バンジョーおたくなパーツの部屋 その1

「Toneringの重さ比べ」で使用した電子ハカリに0.23%の測定誤差があることがわかりました。
新たに最小読み取り単位0.1gの電子ハカリで再測定(既装着のBlaylock(G)と返却済のBlaylock(N)は0.23%増の推定値)結果を記事に反映しました。

 Neat BanjoとCrowe tonering

今やPrewar Gibsonバンジョーのリプロネックと言えばFrank Neatが第一人者であることに異論を唱える方はいないと思いますが、彼自身のブランド「Neat Bnajo」もバンジョー通の中ではひそかに話題となっています。本人作のネックは当然ですが、Jimmy Coxのリム&リゾネータ、そしてBill Blaylockのトーンリングと、今考えられる最高のパーツから作られるNeat Banjoは、米国でも高い評価を得ている(Bnajo Newsletter誌2005年12月号の記事参照)ようですが、一般のショップ売りをしないため、手に入れるためには直接本人に電話(メアドも無し...)して注文しなければならないようなのです。これは我々一般日本人にはかなりハードルが高いですし、多分日本国内でお目にかかることは無いだろうと高を括ってました。
ところが、先日(2006年6月10〜11日)の美星フェスでNeat Bnajoの現物にお目にかかってしまいました。広島のS氏が米国のお店からユーズドで入手されたもの(製作年は不明)だそうで、通常マホガニー製のネックとリゾネータを持つ「Kentucky」モデルですが、これはメープル製なので、多分カスタムモデルなのでしょうね。流石に非常にきれいな造作です。リゾネータを外すと、Frank NeatとJimmy Coxの手書きサインがありました。ところで、このリゾネータを持ってみてビックリ!なんとも軽いんです。借りて帰って重さを計ると言うわけには行きませんが、裏面も側面も通常よりも薄いんじゃないかと思いました。ひょっとして、これがミソかも???
S氏のお話によると、元々はNewGibsonのRB-75(J.D Croweモデル)用のトーンリングが付いていたものをS氏ご自身でBlaylockのTonering(Gold)に換装されたそうです。確か、Neat BanjoへのBlaylockリングの採用はこの2年ぐらいのことなので、このバンジョーはそれ以前に作られたものなのでしょうね。「long skirt」なリングなので、隙間もしっかりとあり、0.35mmのシックネスゲージが入りました。ちなみに、リムとの勘合はかなりタイトフィット(今後、外せるかどうか不安だそうな...)であるとの事です。また、フランジには「Gibson」の刻印がありましたが、S氏によると、通常のGibson純正のフランジよりも軽く感じたそうです。
さて、早速弾かせていただきましたが、はっきり言って、これは凄い良いバンジョーです。まず、レスポンスが良いのは他の「long skirt」ものと同じ傾向ですが、特にネックの上から下までの音のバランスが素晴らしいのです。ハイポジションの音も痩せませんし、開放弦のパワーも充分にあります。出来て数年の新しいバンジョーですから、勿論新しい木の音ではありますが、この音がオールド物ではなく、真新しいバンジョーから出てくるんですから、やっぱりこれは凄いですよ。思わず「売ってくれいっ!」と言いそうになりました(^^; 勿論、売ってくれないでしょうが...
S氏のご好意により、Neat Bnajoより取り外したCroweリングを採寸させていただきました。
まず外観の特徴ですが、先日のNewGibson Granadaのリング同様にGibsonのマークを含めて、なんの刻印も見つけることが出来ません。これはどのように判断すればよいのでしょうか?ちなみに、先日eBayに出品されていたCroweリングの画像にはしっかりと「JD Crowe」とシリアル番号の刻印が確認できたことを書き加えておきます。
Crowe '04
Gibson
'33 TB-4 Big-10 Ryan Blaylock
(G)
JLS#4 Gibson Mc
Peake
リム上面との接合部の内径(K) 241.12 241.09 --- 241.13 241.18 241.14 241.21 241.20 241.10
リングの内径(L) 275.85 276.25 275.39 275.72 274.88 275.45 275.32 275.94 275.64
リングの外径(M) 279.50 279.45 --- 279.26 279.35 279.23 279.46 279.33 279.27
リム上面との接合部の高さ(N) 20.76 20.15 (13.59) 20.78 18.90 19.97 20.13 20.73 20.61
リングの高さ(O) 30.26 30.25 (30.14) 30.26 29.41 30.08 30.46 30.29 30.10
skirtの長さ(N-O) 9.50 10.10 (16.55) 9.48 10.51 10.11 10.33 9.56 9.49
重量(g) 1500.00 1453.6 1114.8 1443.2 1226.0 1371.2 1525.6 1518.4 1411.8
                          (重量を除く寸法値の単位:mm)
計測値は、このリングが所謂「Changeable」ものであることを示しています。今まで計測したものでは、'90年頃製のGibson-Kulishリングが一番近いでしょうか?
 J.D Crowe Toneringのタップトーンが聴けます
タップトーンではJLS#4のそれと近いような気がするのですが、如何でしょうか?

 NewGibsonなのにロングスカートって!?

城さん経由で大阪在住のFさんより、トーンリングに関する興味深い情報を頂きました。Fさん所有の極最近のNewGibson Granada(Reissueシリーズ)のトーンリングが「long skirt」で、リムとリングの間に「隙間」があると言うことなんです。NewGibsonものは当然「Changeable」なはずなので「隙間」は無いはずなのですが...これはFさんのおっしゃるとおりにトーンリングが「long skirt」なのでしょうか?はたまたリムが規格外なのでしょうか?現在、このリングはポットより外してあるそうで、お借りすることが出来ました。
まず外観ですが、Gibsonならあるはずの「Gibson USA」の刻印がどこにも見当たりません。それどころか、その他にも全く刻印類が見当たらないのです。これって、ノーブランド品なの?また所々に削り傷のようなものがいくつも見られ、正直、作りはかなり荒く感じます。金メッキは少し赤っぽい、所謂トリプルゴールド系のように見えます。
吉例の採寸&計量を行いました。skirtの長さから見ると、これは紛れも無く「long skirt」ですな。他のリングのデータと比較したら、どのメーカーのリングか特定できるかと思いましたが...寸法だけでは特定できないですね。
'04Gibson '33 TB-4 Big-10 Ryan Blaylock(G Blaylock(N JLS#4 Gibson McPeake
リム上面との接合部の内径(K) 241.09 --- 241.13 241.18 241.14 241.20 241.21 241.20 241.10
リングの内径(L) 276.25 275.39 275.72 274.88 275.45 275.41 275.32 275.94 275.64
リングの外径(M) 279.45 --- 279.26 279.35 279.23 279.26 279.46 279.33 279.27
リム上面との接合部の高さ(N) 20.15 (13.59) 20.78 18.90 19.97 19.96 20.13 20.73 20.61
リングの高さ(O) 30.25 (30.14) 30.26 29.41 30.08 30.18 30.46 30.29 30.10
skirtの長さ(N-O) 10.10 (16.55) 9.48 10.51 10.11 10.22 10.33 9.56 9.49
重量(g) 1453.6 1114.8 1443.2 1226.0 1371.2 1359.6 1525.6 1518.4 1411.8
                          (重量を除く寸法値の単位:mm)
 '04 NewGibson Granada Toneringのタップトーンが聴けます
タップトーンを比較しても、やっぱりどのリングとも違うような...良く分かりません。前述のとおり、skirtの長さから見ると「long skirt」に間違いないのですが、リングの内径(L)はKulish等の「Changeable」もののそれよりもさらに0.5mmほど径が大きくなってます。これではまるで、NewGibsonのウッドリム用に作られた「loose fit」用のリングみたいじゃないですか!まぁ、流石にそのようなことは無いでしょうが、また謎がひとつ増えましたなぁ...


「後日談」
謎のトーンリングの真相がわかりました。

この刻印無しののトーンリングは、業界(なんの?)では「mystery ring」と呼ばれているらしいです。 詳細は以下のとおり。

 ・このリングは2004年製のJ.D,Croweモデル、Scruggsモデル以外の多くのGibsonバンジョーに見られる。
 ・一部のScruggsモデルでも見られることがある。
 ・このリングはテネシー州Goodlettsvilleの「Production Moulders」という工場で生産されている。
 ・このリングの重さは3ポンド4オンス(約1.46kg)である。
 ・このリングはKulesh(以前のNewGibsonリング)やCroweリングと比べると作りが少し荒い。

との事ですが、先日私が計測したノーマーキング・リングの重量が1453.6gと非常に近い値でしたから、こりゃ間違いないですね。これは噂の域を出ないのですが、このリングのメッキ加工前の工場出し価格がたったの45ドルだとか...ホンマかいな(^^;

決してこのリングのパフォーマンスは悪く無いそうなのですが、どんなもんでしょうねぇ...

 AW-1とバンジョー・チューナー・アダプター

ブルーグラッサーにも大人気のマイクロ・チューナー「KORG AW-1」を買いました。チューナー本体(表示部)とピエゾピックアップ内蔵のクリップが分離しているのがミソです。大と小の2タイプのクリップが付属していて、楽器によって使い分けるのですが、バンジョーの場合、どちらも「帯に短し襷に長し」で使い辛いように聞いてました。そのために「バンジョー・チューナー・アダプター」という別商品も存在するのですが、ちょっと大層っぽい(^^;ので、とりあえずはAW-1単独で使えないか試してみることにしました。
確かに、ちょっと見は使いでの良さそうな小のクリップは、結局どこにも付けられなかったのですが、大のクリップはフランジの穴に通して、リゾネータ側壁にクリップすることが出来ました。位置的にも、ペグヘッドに付けるよりも見易いので気に入って使っていたのですが、バンド練習の際に、ネックのハイポジションで演奏した時に、フィンガーボードが見えなくなることが判明!(...って、普通すぐに気が付くだろうに(-_-;) アームレスト側に移動すると、今度は右手が見えなくなる。別に右手が見えなくても演奏は出来るのですが、結構無意識で見てるんですね...チューナーがちらちら目に入って気になっちゃうんです。
ということで、結局、バンジョー・チューナー・アダプター「BTA-AW-1」をくらま楽器さんより急送してもらいました。こりゃスマートだわ、見易いわ、便利だわ。初めっからセット特価で買っとくんだった...反省(-_-)

 なんとも怪しいリムの顛末

連休後半の天候不順で塗装の乾燥が予定よりも遅れたそうで、先週末に出来上がってきました。

まずはネックのアクションですが、style75のセット状態とほぼ同等で、大変良好です。今回はボディーとの接合部を削るのではなく、トップロッド側の接合箇所にメイプル材のシム(薄板)を挟み込み方法でネックの角度を調整したそうです。またネックヒールの塗装も大変きれいに仕上がっていました。
さて、本題の「RecordingKingオリジナル5弦ネック」と「多分'36年のstyle1ポット」そして「'29年のstyle3リゾネータ」のコラボPrewarGobsonバンジョーの結果ですが、まず城さんの工房で弾かせてもらった第一印象は...「ん?」なんだか印象が違います。音がかなりこもった感じで、楽器の響きもイマイチな感じ、レスポンスも遅く感じます。ところがこれには仕掛けがあったのです。
前述のとおり、リムとリングのベロの間に2〜3mmの隙間が空いているのですが、ここにメイプル材のシムをはめ込んで隙間を無い状態にしてあったのです。その上、このシムが取り外しできる、つまり、任意で隙間を無くすことが出来るようにしてありました。流石にワンタッチとは行きませんが、シムは16個のピースに分割されているので、ペンチを使えば簡単に取り外しできます。早速、ちょうど半分の8枚をペンチで引き抜いてみたところ、本当に音の変化がわかるんですよ、これが。先ほどに比べて音の響きとレスポンスが改善されていることがわかります。反対に音の焦点が散漫になったと言うか、ちょっとボケたような気もします。シムを元通りに嵌め込むと、また元の音の感覚に戻ります。これは面白いですね。
家に持ち帰ってから、全てのシムを取り外してみたところ、所謂「隙間」効果の確認できる音になりました。それでも全体的な鳴りと、ネック中程(7〜12フレット)辺りのポジションでの音の出方に不満が残りました。ところが、まるで一晩寝かせたカレーのように、一夜明けて弾いてみると音の印象がかなり改善されていました。城さんに確認すると、昨日セットした所だったそうで、ヘッドの落ち着き等を考えると当然かもしれません。

ちなみに、現時点でStyle75(Blaylock Tonering装着)の音と比較すると、「少しこもり気味」「定位はリゾネータ寄り」「音像が少しボケ気味」のように感じますが、「こもり気味」はメイプルの特徴のようですし、「音像」に関しては、現在のヘッドチューニングはまだ「G」程度なので、時間をかけてもう少し締めて行けば、まだまだ改善できるかもしれません。楽しみです。

 なんとも怪しいリムのお話

某ルシアーのお話によると、楽器好きにも躁鬱病のようなものがあるそうです。 その意味では、私は今、躁状態にあるんでしょうか? また変なものに手を出してしまいました。

一応ワンピース物の「Vintage Gibson banjo rim」と言うことですが、ひょっとするとprewarのstyle1のリムである可能性があるらしいのです。 リムの内側にシリアルナンバーが刻印されてはいるのですが、塗装も含めて何度も手直ししたようで、刻印も微かではっきりとは読み取れません。 そんな状態ですから、gibsonのデカールも剥がされています。
ポジティブな要因としては、3プライであること、サイズがprewarのそれと合うこと、リゾネータに固定するL型ブラケットの位置がprewar品に多く見られた3箇所物と合致すること、そして辛うじて読み取れるシリアルナンバーを信じると、1936年製のstyle1であること等です。
ネガティブな要因を上げればキリが無いのですが、最大のソレは価格がべらぼうに安いこと(^^;
まぁ、売主は非常に誠実そうな人で、上記の情報も正直に公開してくれたので、ダメ元で購入しました。

実際に手にするまでは、可能性は半々かな?なんて思っていたのですが、現物を目の当たりにして、微かな望みは脆くも崩れ去りました。まぁ、なんとボロッちいこと... 手直しの箇所は数知れず、形状もかなり歪んでいます。また再塗装もかなり不細工で、部分的に黒く焦げたような跡まであります。最も酷いのはリングの乗るトップの箇所です。
本当にstyle1だとしたら、元々リングの無い構造であるために、リングを乗せるためにリムのトップ部分をカットするのですが、その量を間違えてカットし過ぎたのか、短くなった部分に接木をしてあるのです。それも面を一様に貼ってあるのではなく、ガタガタなんです。
ちなみに、微かに読み取れるシリアルナンバーは、確かに'36年のstyle1を指してはいますが、これが本当にprewar物かどうかと言う問題の前に、まずリムとして機能を果たすのかどうかの方が大きな問題です。

なんだか笑えて来てしまったのですが、とりあえず組んでみて、判断は音を出してから、と思いレコキンのネックと'29年のstyle3のリゾネータ、JLS#4のリングで組み立ててみたところ...なんとこれが鳴るんですよ。ちょっとビックリしてしまいました。少なくともJLS#4リングとの組み合わせでは、TonyPassのオールドウッドリムよりも鳴ります。ところが、前述のとおり、リムのトップに貼られた接木部分が却って厚過ぎるのか、リングのベロ部との間に隙間が空くどころか、リム外周部とリングの接合部の方に隙間が空いてしまう始末。どうやら、この余分な接木を取り払う必要があります。

ということで、京の楽器の駆け込み寺(?)城さんのところに持ち込むことになりました。

******************************

城さんの見立てによると、リムの売主のコメントに概ね間違いはなさそうである...すなわち「ようわからん」とのこと。ただし、シリアルナンバーの刻印がなんとも怪しいので、本物である確率は一層ダウンのようである(^^; また、今までのメンテが明らかに素人仕事であるため、何らかの手直しが必要になるだろうとのこと。こりゃ、こっちの方が費用がかかっちゃうかもしれない...(T_T)/~
まぁ、こうなりゃ毒を喰らわば皿まで、行き着くところまで行かねばなるまい(?)...ということで、とりあえずリムのトップに貼られた余計な接木部分を撤去してもらい、機能上必要な部分の手直しをしてもらいことにしました。
数日後、城さんより「とりあえず接木部分は剥がした」との連絡あり。剥がしてみると、積層部のところどころに剥離による隙間が見つかったそうで、これを膠で貼り付ける必要があるとのこと。
また、この状態でリングを乗せると、ベロとの隙間が1〜2mmも空いてしまうため、この部分に接木をすべきかどうかということになったが、とりあえずはこのまま組んでみて様子を見て、それから考えることにしました。

******************************

城さんより「とりあえずリムにリングを乗せたので、見に来て」と連絡がありました。早速、工房にお邪魔して見せてもらいましたが、例の「隙間」が思ったよりも大きく感じるのにはちょっと複雑。一番広いところは3mm近くも隙間が空いている。本当にこれで良いのかとも思いましたが、当初の予定どおりに、しばらくはそのままで行くことに決定。
また、リムをリゾネータに固定する為のL型ブラケットの古いネジ穴の痕跡がリムの側面に見られますが、城さんの話によると、その位置からみるとPrewar品である可能性が高いとのこと。おっ!これで本物である可能性は、また50%に復帰かな(^^)

今回の作業とあわせて、このリムにセットする予定のRecordingKingオリジナル5弦ネックのヒール部分を改造してもらうことにしました。
このネックはMcPeake氏から入手時より、ポットに固定する為のラグボルトが通常の位置より低めに差し替えられていることがわかっていました。そのために、ヘッド面に対してフィンガーボードの位置がかなり高めにセットされていました。
このまま弾いても問題は無いのですが、style75のそれと弾き比べると、ネック根元に右手を寄せた際のアクションがかなり異なるので、この機会にstyle75のセット状態に合わせてもらうことにしました。
ネックヒール部には後付けのヒールキャップ(ローズウッド製)が接着されてたので、これを剥がしたところ、前の改修の際のラグボルトのネジ山痕が出てきてしまいましたが、これは機能上は問題ないので、塗装で隠してもらいます。

連休明けには弾けそうです。(書込み時2006年5月2日)
楽しみ(^^)/~

 トーンリングのデータ 3本追加

工房Shilohの城さんのご尽力で、新たに3本のトーンリングをお借りすることが出来ました。
手前左より、Steve Ryay Tonering (Gold)、Kulesh Big-10 Tonering、そして後方の40穴アーチトップリングは、なんと1933年製TB-4のOriginal Prewar Toneringです。
まずは、Steve Ryan Toneringです。これはかなり古いものらしく、一度、部分的に金メッキがはがれてしまったので、国内の普通のメッキ屋さんで再メッキしてもらったそうです。
リング内側の刻印です。「SR」は作者Stive Ryanのイニシャルでしょう。他に製造年や製造ロットを表すような刻印は見られません。
 Steve Ryan Toneringのタップトーンが聴けます
次に、Kulesh Big-10 Toneringです。これはRichard Kuleshのfamily(多分息子でしょうね...)が作ったリングで、R&Tバンジョーに装着されていたKulesh 10-hole Toneringよりもベロ上の穴が大きくて、この10個の穴の面積を合計すると通常の20穴のものの合計と同じになるそうです。
リング内側には、「W」の上に「RK」の文字が丸で囲まれている刻印があります。これは1992年以降のGibson Reissue(Klish)リングに刻まれているRichardKulishのイニシャルを表したKuleshファミリーの鋳造工場のトレードマークと同じものです。
 Kulesh 10-hole Toneringのタップトーンが聴けます
1933年製Prewar Mastertone TB-4のOriginal Arch-top Toneringです。ドリルで開けられた40個の穴は、バリもそのままで生々しいです。
 TB-4 Arch-top Toneringのタップトーンが聴けます
吉例の採寸&計量を行いました。
33' TB-4 Big-10 Ryan Blaylock(G Blaylock(N JLS#4 Gibson McPeake
リム上面との接合部の内径(K) --- 241.13 241.18 241.14 241.20 241.21 241.20 241.10
リングの内径(L) 275.39 275.72 274.88 275.45 275.41 275.32 275.94 275.64
リングの外径(M) --- 279.26 279.35 279.23 279.26 279.46 279.33 279.27
リム上面との接合部の高さ(N) (13.59) 20.78 18.90 19.97 19.96 20.13 20.73 20.61
リングの高さ(O) (30.14) 30.26 29.41 30.08 30.18 30.46 30.29 30.10
skirtの長さ(N-O) (16.55) 9.48 10.51 10.11 10.22 10.33 9.56 9.49
重量(g) 1114.8 1443.2 1226.0 1371.2 1359.6 1525.6 1518.4 1411.8
                          (重量を除く寸法値の単位:mm)
1933年製TB-4アーチトップリングの内径が、BlaylockやJLS#4のlong skirt族の内径と同じく275.5mm以下ということから、これが1930年代前半のPrewarサイズということで間違いないようですね。また、Ryanもskirtの長さでは立派なlong skirt族なのですが、内寸があまりにも小さ過ぎ(何度も測りなおしましたが...)ますね。これは例外として、現在流通しているトーンリングのサイズから「long skirt族」イコール「1930年代前半Prewarサイズ」と、「コンパチブル族」イコール「NewGibsonサイズ」で区分できるという仮説が肯定される結果となりました。

 National Fingerpick あれこれ

バンジョーを弾き始めた頃からお世話になっているNationalのフィンガーピック。幾度と無くマイナー&メジャーチェンジを繰り返してきたようで、現行の製品には初期の面影は無く、これも楽器と同様に「戦前」ものが一番クォリティーが高かったようです。(最近、これの復刻版も発売されたようですが、私は未入手...)

手持ちのものを調べてみると、バンジョーを弾き始めた頃(1970年代)のものから、現在「NP1」と呼ばれている、PAT No.の無いものまで...外観や材質の色等で分けてみると、4種類になりました。「NP1」は外観が全く違うので明白ですが、その他のもそれぞれに違いが見られるので、厚みや材質も変わってるんだろうと漠然と思ってました。

(1)

(2)

(3)

(4)
さて、前述の復刻版の厚みが0.025インチ(0.635mm)と言うことらしいので、これと比較してそれぞれの重量と板厚を測ってみました。
重量(g) 板厚(mm) 備考
(1) 2.54 0.622 1970年代(前半?)
(2) 2.56 0.637 1970年代(後半?)
(3) 2.50 0.643 1980年代
(4) 2.44 0.619 現行品「NP1」
「NP1」を除いて、その他は思ったよりもそれぞれの差は無いですね。ちょっとビックリしました。

(1)と(2)の差は表面の押しキズの有無ぐらいですが、(2)と(3)は明らかに材質が違うと思ってました。でも、誤差は僅か1〜2%と言うことでした。これが、トーリングのタップトーンならぬ、ピックを手で持ってチャラチャラ鳴らした音が、それぞれに全然違うんですよ。また、実際に楽器を弾いた感覚も違いますしね。

ちなみに材質は「ニッケルシルバー」、日本名は「洋白」という、銅60% ニッケル20% 亜鉛20%の合金ですが、僅か1〜2%ながらも、それぞれの板厚&重量の差は何から生じるかと言うと、やはり各成分の配合率の違いでしょうね。特に比重が一番大きい「銅」の配合率がポイントでしょうか?

仮に「NP1」を除く(1)から(3)までが同じ金型で抜き加工されていたとすると、全ての表面積はほぼ同じとなりますから、板厚が厚い=体積が大きいと言うことになります。つまり、(1)と(2)に比べて(3)は体積が大きいにもかかわらず重量が軽い...つまり素材の比重が小さいと言うことになります。これはすなわち、含有成分の中で比重の一番大きい「銅」配合率が小さいと推定できます。

また、銅の配合率が低いほど硬度が硬くなり、反対に配合率が高いほど柔らかくなります。実は、(1)と(2)は(3)に比べて磨耗が早い傾向があるのですが、これは辻褄が合いますね。このほど良い「柔らかさ」が音(多分、比較的マイルド...)に影響するんでしょうかね?

 交換可能なトーンリングとそうでないもの?

JLS#4リングをTonyPassオールドウッドリムから外そうとしたのですが、ビクともしません。ヘアドライヤーで暖めながらの作業でも同じです。最終的には、リムとの隙間の部分に金ザシを入れて、僅かずつ引き出すことでリムから引き抜くことが出来たのですが、小1時間かかってしまいました。もしリムとの間に隙間が無かったら、また隙間があっても、紙1枚程度の僅かなものだったら、別の方法を考えなければ取り外すことが出来なかったかもしれません。装着した際のことを思い出すと、なかなか嵌めることができず、最後は体重をかけて押し込んだ覚えがあります。また、このTonyPassリムにBlaylockを嵌めてみようとしましたが、同様に嵌め合わせが固く、嵌まったとしても抜くことが出来なくなりそうで、結局やめてしまいました。

今回採寸したトーンリングの内径(L)を見ると、Blaylock、JLS#4と、NewGibson、McPeakeで分けられることに気が付きます。前者は275.45mmよりも小さな値であり、後者は275.64mmよりも大きな値を示しています。以前採寸したことのあるHuberのリングも275.68mm〜と、後者のグループに入ります。

前者と後者を比べてわかるのは、前者の2つのリングは1930年代前半のリングをフルコピーした「long skirt」であることです。つまり、1930年代前半のトーリングの内径は、NewGibsonをはじめとする現在のバンジョーのそれよりも僅かに小さいと言うことが推定されます。実際に「long skirt」系のリングをPrewarGibsonに装着している、工房Shilohの城氏、くらま楽器の吉田氏、そして私の3本のバンジョーを調べると、3本ともがNewGibsonやMcPeakeリングを装着するとガタが生じるほどのloose fitであったことが各氏の証言からわかりました。ここから導き出される結論は、PrewarGibsonバンジョーのリムのトーンリング装着部の系は、NewGibsonをはじめとする現在のバンジョーのそれよりも僅かに小さいのではないか...ということです。

前出の後者のグループに入るNewGibson(Kulish)やMcPeake、Huber等のリングは、1980年代後半にリリースされたNewGibson(Reissueシリーズ)のウッドリムに無理なく装着できるサイズになっている、むしろ統一している可能性(市場性?)もあります。所謂、ChangeableとかReplaceableとか称されるグループに属するようです。一方のBlaylock、JLS#4等のグループは「long skirt」も含めて1930年代前半のリングのサイズを忠実に再現していると言うことですから、今回のように、NewGibson系の新しいリムに装着する際には極めてtight fitあるいはリムを少し削ってやらないと装着できない場合も考えられます。

「long skirt」系リングの「隙間」の効果を期待するには、リングの振動を減衰させない「loose fit」が基本と思われますので、その意味でも、Blaylock、JLS#4等のリングをNewGibson系のリムに装着する際には、リムに手直しが必要になる場合があると認識する必要があると思います。なお、HuberやBlaylockはリムに合わせたカスタムメイドも可能と言うことですので、ここに相談するのが一番確かかと思います。同様に、TonyPassもリングに合わせてリムを削ってくれるそうです。

最後に、「tight fit」がダメであると言うことではなく、リムとリングの隙間も一切無く、リングの振動がそのままリムに伝わるセットの方が良い(これも好みの問題?)という理論もあるということを書き加えておきます。

 Blaylock Tonering (gold-over-copper flashing)

私の手配していたBlaylock Toneringがやってきました。TB-75 conversion(Nickelメッキ)に装着するためですが、何故かGoldメッキです。何故かは勿論、言うまでも無いですね(^^)v 今回のGoldメッキの仕様は「gold-over-copper flashing」ということで、Sonny Osborneの「Chief」バンジョーに採用されているBlaylock Toneringと同じメッキ仕様のモノです。
この画像では黄色っぽく見えますが、実際はもう少し赤みがかかった黄金色です。「Blaylock」のサインの横の「104」の数字は、どうやら通し番号と言うわけではないらしいのですが、詳細は不明。ベロ部の斜面、及びにリングの内側がバフ磨きが施されておらず、旋盤のバイトで削ったスジ状の跡がそのまま残っているのはNickelメッキのバージョンと同じです。

吉例の採寸&計量を行いました。メッキの仕様が違うだけのはずなので、くらま楽器さんからお借りしていたNickelメッキのバージョンとほぼ同じになるはずなのですが...
Blaylock(G) Blaylock(N) JLS#4 Gibson McPeake
リム上面との接合部の内径(K) 241.14 241.20 241.21 241.20 241.10
リングの内径(L) 275.45 275.41 275.32 275.94 275.64
リングの外径(M) 279.23 279.26 279.46 279.33 279.27
リム上面との接合部の高さ(N) 19.97 19.96 20.13 20.73 20.61
リングの高さ(O) 30.08 30.18 30.46 30.29 30.10
skirtの長さ(N-O) 10.11 10.22 10.33 9.56 9.49
重量(g) 1371.2 1359.6 1525.6 1518.4 1411.8
                          (重量を除く寸法値の単位:mm)
ほとんどの寸法は大差無いですが、skirt丈が0.11mm短く、重量が11.5g重いあたりが微妙ですなぁ。

タップトーンは、私の耳にはNickelメッキのバージョンと全く同じに聞こえるので、今回は割愛させていただきました。あしからずm(_._)m

早速、TB-75 conversionに取り付けましたが、リムとの勘合もNickelバージョンとほぼ同じ。skirtの長さがNickelメッキのバージョンよりも0.1mm程度短いため、ウッドリムとリングのベロ先端との間にコピー用紙が1枚しか入る隙間(0.1mm程度)が空きませんでした。NickelのボディーにGoldのリングもなかなか良いでしょ(^^)
音の印象も大筋ではNickelメッキのバージョンと同じなのですが、比較的まろやかな感じがするのはGoldメッキのせいでしょうか。「音が大きい」と言うよりも「楽器が鳴る」と言う表現がピッタリと来る感じや、ネックのミドル〜ハイポジションでも音痩せしない(むしろローポジションよりも張りが出る?)という傾向は、Nickelメッキのバージョンと同じです。

現在のヘッドチューニングは「G」と「G#」の間ぐらい(TentionWatchで「80」〜「81」程度)で、今回は日数をかけて徐々に「A」あたりまで(「85」程度)締めていこうと思っています。
「gold-over-copper flashing」メッキについて
通常、ブラス(真鍮)の上に金メッキが施されるプロセスは、まず真鍮の上に銅のフラッシュメッキ(0.2〜3μ程度の極薄い下地メッキ)が施され、この上にニッケルメッキ(数μ)された上に金メッキが施されます。ここでのニッケルメッキの役目は耐久性の向上にあります。銅下地に直接金メッキを行うと銅が金メッキに移行し、耐食性が悪くなったり、金のピン・ホールで下地金属が腐食される危険性があるからです。また、ニッケル下地を使うと、金メッキの厚みを比較的薄くしても光沢性や耐久性が保てるため、経済的でもあります。このため、通常「金メッキ」と言えばこの「ニッケル下地金メッキ」を指します。

これに対して「gold-over-copper flashing」メッキとは文字通り、銅のフラッシュメッキの上に直接金メッキを施す工法です。この場合、金メッキの厚みはニッケル下地金メッキよりも厚く施されることになりますが、それでも耐久性に関してはニッケル下地金メッキより劣ることになります。

では、何故あえて「gold-over-copper flashing」メッキなのかと言うと、Prewar Gibson Mastertone Banjoに施されていた金メッキがこれであるからに他なりません。Prewarのあのまろやかな音の秘密の一因がこのメッキにあるとも考えられているからです。

ちなみに、通常のニッケル下地金メッキが光沢を持った黄色っぽく見えるのに対して、「gold-over-copper flashing」メッキは比較的赤っぽく見えるという外観的特徴もあります。

 「long skirt」と「隙間」に関する追加情報

大森様所有のPrewar Original Flathead Granadaの場合
神奈川県在住の大森”入道”様所有の1932年製オリジナルフラットヘッドGranadaにも「隙間」があるという情報をいただきました。

氏がバンジョーを弾いておられるバンド「赤猫」が、昨年の秋に関西ツアーをされた際に、くらま楽器の吉田氏と工房Shilohの城氏が確認されたとのこと。早速、大森様に問い合わせしたところ、確かにウッドリムとトーンリングのベロの間に薄い紙が一枚入る程度の「隙間」があるとのことです。あわせてデカールの状態がはっきりわかる画像をいただきました。
これをみると、大森様のGranadaのリムはカットされてものではありませんね。と言うことは、EarlやSonnyのGranadaの場合の「隙間」とは違う性質のものと言えますが、旋盤加工での木材と金属の加工精度の差、また木材の経年収縮等が理由となると、全くの「別物」とも言いきれません。なんにしろ、想像の域は出ませんが...

大森”入道”様、ご協力誠にありがとうございました。もしフェス等でお会いできましたら、是非現物を拝ませてやってくださいませm(_._)m
1937 Gibson RB-75のデカールの場合
名古屋在住の5弦ソックス様から情報を頂きました。

「banjo.com」という所にフルオリジナルの1937 Gibson RB-75が売りに出されています。
価格は$125,000といつもの天文学的数字なのですが、ここに掲載されている画像にカットされていないデカールがきれいに写っています。
これを見ると、デカールの外枠の上部がトーンリングにまではみ出しているように見えるんです。これを素直に受け取ると、ウッドリムにトーリングが装着された後にデカールが貼られたと言うことになりますね。 私はてっきり、デカールは組み立てられる前にリムに貼られるものとばかり思ってました。ご存知のように、style75はある意味非常にいい加減なバンジョーで、その場にあったパーツを適当に組み合わせて作ったんじゃないか?という物が多く存在します。 なので、組み立て手順もいい加減な可能性は十分に想像はできますが...

一般的には、デカールは楽器の完成後に貼られるものと思うのですが、この時期のgibsonのバンジョーの場合、工場出荷の新品であるにもかかわらず、「デカールの一部がカットされたものが見られる」ことから、「部品在庫の時点でデカールが貼られている」そして「デカールが貼られた状態で追加工が行われて(デカールの一部がカットされて)組み込まれる」と思われていたわけです。 ところが、今回の写真のように、デカールが組み込み品の上にもはみ出していると言うことは、「組み込み後にデカールが貼られた」と言うことに他なりません。

仮説としては2点あります。

(1)デカールを貼り付ける手順は、時期によって、又は担当者によってまちまちだった。

(2)デカールは組み立て後に貼られる手順だった。

もし、(2)が正しいとすると、「工場出荷の新品であるにもかかわらず、デカールの一部がカットされたもの」(EarlやSonnyのGranadaがこれにあたる)は、「一度アーチトップとして組み込みされたものを、注文に応じてリムを抜き出し、カットしてからフラットヘッドとして再組み立てしたもの」と言うことになります。

実際にJim Millsのアルバム「Hide Head Blues」のライナーノーツによると、30年代後半のRB-75をオーダーメードする際には、在庫のバンジョーをばらして、必要なパーツを用意した...というような内容が書かれています。 これが日常化していたとしたら、(2)の説もまんざら出鱈目ではないかもしれません。

さて、みなさん、如何なモンでしょうか?

5弦ソックス様、興味深い情報のご提供、ありがとうございましたm(_._)m
Toneringの重さ比べ
大分在住のいのべ様より、「ところで重さの違いはどうなんでしょう?」とリクエストをいただきましたので、早速測定しました。なお、使用しましたはかりはMax.6kgの電子はかりで、最小読み取り単位0.1gです。それぞれのリングの特徴はページ下方の記事をご参照下さい。
重量(g)
Blaylock 1359.6
JLS#4 1525.6
McPeake 1411.8
Gibson 1518.4
私の予想では、Blaylockが一番重いと思ってましたが、予想に反してBlaylockが一番軽かったです。同じlong skirtでも、JLS#4は重いんですけどね...さて、みなさんの予想は如何でしたか?

いのべ様、興味深いリクエスト、ありがとうございました。

 「隙間」におけるひとつの考察

「long skirt」の秘密の項をアップしてから、EarlやSonnyのGranada以外にも「隙間」を持つPre-war Mastertoneは無いものかと、ネット上で見ることの出来る画像を探しまくったのですが、まだ今のところ見つかっていません。尼崎の重鎮K氏も同様に探されたそうですが、同じく見つからないそうです。ただ、ネットで見つかった画像は全てデカール(Gibsonラベル)がカットされていない物ばかりである点が気にはなっておりました。

さて、「long skirt」の秘密の項でご紹介したEarl ScruggsのRB-Granada #9584-3の画像ページの、ウッドリム内部に貼られたデカールの写真を見ると、トーンリング側が一部カットされているのが確認できます。通常これは、元々アーチトップ用に製作されたウッドリムをフラットヘッド用にコンバージョンする際に、リムのトーンリング側を少しカットした際に生じる現象です。しかし、勿論ScruggsのGranadaはオリジナル。フラットヘッドのはずですよね。これは一体どういうことでしょうか?

また、ネットを検索して偶然ヒットしたBanjo Hangout Discussionのページに、「I do know that Sonny's Granada is cut and it was done by the factory.」とあるのを見つけました。「SonnyのGranadaもリムがカットされている」って、本当でしょうか?まるで、既成の事実であるかのような表現ですよね...などと思っていたら、Earl Scruggs' Forumでもこれに関する話題のページを見つけました。この内容では、やはり両者のGranada共にデカールがカットされているようですね。これは両者のGranadaがアーチトップからのコンバージョンであると言う意味では決して無く、当時のGibsonの製造工程の事情で、アーチトップ用に生産されていたリムをカットして、フラットトップに転用されたと言うことです。トーンリング等の金属部品と同様にウッドリムもあらかじめ計画ロットで生産されていたことは容易に想像できますが、実際の受注状況によってフラットヘッドとアーチトップの生産数が左右するので、はじめからフラットヘッド予定だったものはデカールのカット無し、生産数の変更でフラットヘッドに切り替えられたものはデカールのカット有り...となったのではないかと想像できます。

では、EarlとSonnyのGranada共に、リムがアーチトップサイズからフラットトップサイズにカットされたものであるのなら、「隙間」はその際に生まれたものであるとは推理できないでしょうか?「隙間」の原因がカット精度の誤差と仮定するならば、前出のEarlのGranadaのリム内部の画像で、デカル側ネック側は「隙間」がはっきりと確認できるのに、シリアル番号スタンプ側Earlのサイン書き込み側には「隙間」が確認できないと言う現象の理由も説明が付く...つまり、カット(旋盤)面が僅かに傾いている...というわけです。

また、最初からフラットトップサイズに作られたリム、例えばこのRB-Granadaとか、このRB-3とか、はたまたこのRB-3とかのようにラベルがカットされていないものはlong skirtサイズのリングでも「隙間」が生じていないということで説明が付くのではないでしょうか。

これらの考察から導かれる結果は、「隙間」は「偶然の産物」である...ということになりますね。勿論、「long skirt」なトーンリングが無ければ存在しないわけではありますが...

以上は私の勝手な想像ですので、あんまり信用しないでくださいね(^^;でも、世界2大ブルーグラスバンジョーとも言える両巨頭のGranadaが、同じようにカットされたリムを持ち、「隙間」があるなんて、なんとも面白いですよねぇ。無性にロマンを感じてしまうのは果たして私だけでしょうか?

もし、「ラベルがカットされていないのに、「隙間」のあるPre-War Mastertoneの画像を見つけた」という場合は、ご一報をいただけたら幸いです。(懸賞金はないですよぉ(^^;)そん時は、もう一度初めっから考察やり直しっ!

 「long skirt」の秘密

今回の記事にある「隙間の効果」やTone Bell Systemは、その効果を保証したり、責任を負うものではありません。また、トーンリングの交換やTone Bell Systemは、バンジョーのパーツに改造が伴う場合があり、元の状態に戻らない事態も考えられます。特に、Tone Bell Systemはウッドリムを削ることになります。あくまでご自身の責任の上、また充分ご注意の上でこの記事をお取り扱い下さい。
今回テストしたJLS#4 Tone RingとBlaylock Toneringは共にリングのスカート部が他の一般的なリングと比べて、ほんのちょっとだけ長い「long skirt」です。くらま楽器の吉田氏がBlaylockリングのBill Blaylock氏から得た情報によると、

「1930年代前半のフラットヘッド・トーンリングのskirtは.406(10.3mm) skirt長で.後期は360(9.1mm)から .390(9.9mm) と金属の響く割合が年代により違うので全体としてのサウンドが後期になるほどトレブリーになる。」

ということで、これはJLS#4が1930年代初期のRB-4のリングを、またBlaylockリングがSonny Osborneのグラナダ等の、これまた1930年代初期のリングを完全コピーして作られたと言う情報からもうなずけます。またこの「long skirt」については、Banjo Hangout Discussion Forumsでも何度か取り上げられています。

さて、ではこの時期のウッドリムも同様に長くなっているのかと言うと一概にはそうではないようです。(この辺りは、まだ多くの情報を持ち合わせていません...)リムはそのままでトーンリングのskirtだけ長いとなると、当然リムのトップとリングのベロ部の間に隙間が生じます。これもまた吉田氏を通してのBill Blaylock氏の証言ですが、彼がリサーチしたEarl ScruggsとSonny Osborne両氏のRB-Granadaを採寸すると、そのリムのトップとリングのベロ部の間に隙間が生じるそうです。これは、このページに掲載されたEarl ScruggsのRB-Granada #9584-3の画像からも確認されます。(ラベル側の画像がわかりやすいです...)

では、この隙間がどのように作用するのでしょうか。これに関するヒントを工房SHILOHの城氏より頂きました。それは、「Banjo Setup Web Pages」で有名なBill Palmer氏が提唱する「Tone Bell System」と同じではないかと言うことです。Tone Bell Systemの場合は、リングのサイズはそのままで、リムのトップの内コーナーを僅かにR状に削るというものですが、これでリングとリムの間に僅かな隙間が生じるわけです。

Tone Bell Systemの効果の詳細についてはここでは割愛しますが、今回テストしたlong skirtなトーンリングの特徴である、レスポンスの良さ、響きの良さによる音量の豊かさは、Tone Bell Systemのそれと近いものがあると思います。(Tone Bell Systemの音自身を聴いたことが無いので、あくまで想像ですが...)

なお、long skirtについては、Huberリングもオーダーメードで対応可能であるらしいとか、Gibson Reissueリングも最初の頃のロットはlong skirtだったが、他のreplaceable(交換可能な)リングとの互換性を保つために今のサイズに変更された...等の未確認関連情報も存在ます。また、Tone Bell Systemの効果については従来より賛否両論があるのと同様に、この「隙間の効果」の是非は、勿論個々の好みによって左右するであろう旨も最後に書き加えておくことにします。

 Blaylock Tonering

Sonny Osborneの「Chief」バンジョーに採用されたことで話題のBlaylock Toneringです。くらま楽器の吉田氏のご好意でテストさせていただきました。
1930年代前半のフラットヘッド・トーンリングを完全コピーしたと言うこのリングもJLSリングと同じくlong skirtです。また、ベロ部の斜面、及びにリングの内側はバフ磨きが施されておらず、旋盤のバイトで削ったスジ状の跡がそのまま残っています。blaylockのサインと製造番号(通し番号?)も見られます。
他のリング同様に採寸してみました。同時に測定したJLS#4 Tone Ring、再度測定したGibson Reissue 20-Hole Tone RinとMcPeake Pre-War style Toneringの寸法と比較してみましょう。
Blaylock JLS#4 Gibson McPeake
リム上面との接合部の内径(K) 241.20 241.21 241.20 241.10
リングの内径(L) 275.41 275.32 275.94 275.64
リングの外径(M) 279.26 279.27 279.33 279.27
リム上面との接合部の高さ(N) 19.96 20.13 20.73 20.61
リングの高さ(O) 30.18 30.46 30.29 30.10
skirtの長さ(N-O) 10.22 10.33 9.56 9.49
                          (単位:mm)
 Blaylock Toneringのタップトーンが聴けます

Blaylock Toneringタップトーンの周波数分析画像(いのべ様ご提供)

Blaylock Toneringタップトーンの周波数分析動画(いのべ様ご提供)
(注)ファイルが大きい(6704KB)のでお気をつけ下さい
タップトーンの特徴ですが、他のどのリングよりも良く響きます。現在手元に残っているGibson Reissue及びMcPeakeと比べても明らかに鳴りが大きいです。これはHuberと同様の鳴りの良さを感じさせます。
早速、TB-75 conversionに取り付けました。まずリムとの勘合ですが、少しきつめですが、手で荷重をかけてやるとすっと入りました。long skirtですから、ウッドリムとリングのベロ先端との間にコピー用紙が2〜3枚入る隙間(0.2mm程度)が空いています。JLS#4リングと同様にレスポンスの良さを感じますが、それにも増して感じるのは楽器の振動です。良く4弦の鳴りが楽器の振動として感じると言いますが、これが全ての弦において感じるような気がします。勿論、音も鳴ります(^^)「音がでかい」と言うよりも「楽器が鳴る」と言う表現がピッタリと来る感じです。

ヘッドチューニングはJLS#4の際と同じく「A」(TentionWatchで「85」)ぐらいまで締めましたが、これの少し手前の「G#」(TentionWatchで「82」)とでは好みによって評価は別れると思います。私の感覚では、「G#」では弦が少し鳴りすぎるような感じがしました。「A」まで締めるとボディーが鳴り始めるといった感じでしょうか。(あくまで私見です...)

さて、すっかりほれ込んじゃいましたが、如何せん値段が高い(^^;でも、値段に変えがたい魅力がありますね。コストパフォーマンスではJLSリング、より上を狙うならBlaylockリングと言った所でしょうか。

 JLS "Special #4" Tone Ring by Jim Stull

pre-war RB4から採寸した...と言うのは、他のpre-war コピーリングと同じですが、「オリジナルのリングのオーナーは、それを売って、このコピーを自分ののバンジョーに乗せて使っています」という話の信憑性や如何に?
他のメーカーのリングに見られるようなトレードマークやロットナンバーのような刻印は一切無く、外観上の特徴は特には見られませんが、なんと言ってもこのリングの特徴は、「long skirt」と言って、リングのスカート部が他の一般的なリングと比べて、ほんのちょっとだけ長いところです。 標準的なウッドリムに装着すると、リムのトップの部分とリングのベロの先端の部分に0.5程度の隙間が生じることになります。
 JLS "Special #4" Tone Ringのタップトーンが聴けます

JLS "Special #4" Tone Ringタップトーンの周波数分析画像(いのべ様ご提供)

JLS "Special #4" Tone Ringタップトーンの周波数分析動画(いのべ様ご提供)
(注)ファイルが大きい(4225KB)のでお気をつけ下さい
これをRecordingKingに装着した所、レスポンスが良くなり、また倍音成分が増えて全体的に鳴りが良くなった様な感じがします。但し、ヘッドは「A」(TentionWatchで「85」)ぐらいまで締めてやらないとダメなように感じました。音色は、価格が価格なので「それなり」と言う感じがしますが、コストパフォーマンスは良いと思います。

 TAMA Tension Watch

出先からの帰りに滋賀県大津市のハードオフを覗いてみたら、TAMAのTension Watchが中古で売っていたので、思わずゲットしました。バンジョーオタクならご存知の、ドラムヘッドの張り具合を数値で見ることができるグッズです。
実物を見るのは初めてなのですが、これは錘にダイヤルゲージを取り付けただけの簡単な構造ですね。ドラムヘッドに錘を乗せて、重みでたわんだ量をダイヤルゲージで定量的に測定すると言う仕組みです。

某有名国内バンジョー掲示板でも以前書き込みがありましたが、実際に測定してみると、確かにネック側とテールピース側では測定値が違います。ネック側が数値が大きくなる、つまりたわみ量が少ないと言うことですが...

バンジョーの場合、テールピース側寄りにブリッジを置くので、ここが凹んでしまい、頂点が大きく偏った逆さ向けの円錐状になります。 このままで錘を載せなくてもテールピース側のRが小さい、つまりたわみ量が大きいと言うことになるので、たとえ同じ張力が働いていても、同じ数値にはならないと言うことになります。

ですから、ドラムヘッド全周にわたって同じ張り具合にするには、ブリッジを倒した状態でTension Watchで測定する必要があると言うことになりますが、果たしてバンジョー弾きの皆さんはこのような方法でこのグッズを使っているのでしょうか?ちなみに、私のバンジョー(ヘッドはレモ)でブリッジを倒して測定した場合、「G#」で「82〜83」、「A」で「85」程度になりました。

 Resonator 3種(Recording King用)

先日、eBayにて"Prewar Gibson Banjo Resonator"なるものを落札しました。そこで下の「トーリング揃い踏み」ならぬ、「リゾネータ 3種揃い踏み」です。
上左が最近まで装着していたスクラッグスモデルのコピー品らしきもので、製造元等はunknownです。上右がRecordingKingオリジナルのもので、通常のギブソン・マスタートーンものよりも厚みが12mmほど大きく、底面が幾分扁平なのが特徴です。そして、下が今回入手したプリウォーものです。ちなみに3点ともメイプル製です。
内側です。それぞれの並びは上の画像と同じです。RecordingKingオリジナルは内も外も再塗装されていて非常にきれいです。スクラッグスモデルのコピー品は内側が黒く塗装されているのですが、部分的に白くなってきてちょっとばっちいです。今回のプリウォー品も再塗装されているようで、内側は結構きれいですが、外側は木目に沿って塗装に浅いクラックが入っていて、なんだか良い感じです。
今回入手したリゾネータには内側にシリアル番号が刻印されていました。「8527−6」から、PrewarGibsonのシリアル番号のページで調べると1929年のTB−3のもののようです。

RecordingKingに装着した直後は、弱く弾く分にはきれいな音がするのですが、強く弾くと音の立ち上がりが遅いというか、メリハリが無いと言うか...ちょっと物足りなさを感じました。僕の少ない経験からですが、日本に来た直後の楽器はよくこの傾向があるので、当分の間は様子を見るつもりだったのですが、ほんの2〜3日で化けました。たいして弾きこんでもいないのにしっかりと鳴るようになりました。

3種類のリゾネータを装着して弾き比べた結果、今回手に入れたTB−3のリゾネータを常用することにしました。

 OldWoodRim(TonyPassBanjoRim)

アメリカ北部の五大湖の一つ、スペリオル湖の底深い泥の中に埋まっていた100年以上も前に伐採されたであろうメイプル材(OldWood)で作られたリムです。これは一般的な3プライものではなくブロックタイプのものですが、接着技術の改良により、3プライものよりも使われている接着剤の量が少ない優れものだそうです。
本来なら、フランジとリングを向こうに送って、あわせて作ってもらう物なのですが、Tony氏にムリを言って、「そちらで92年ギブソンフランジに合わせて...」と作ってもらいました。ところが、出来上がったものは手持ちのフランジに入らない(^^;即、リペアマンの城さんに持ち込んで修理していただきました。どうやらGibsonUSAのフランジと一言で言っても6種類もサイズがあるそうで、同じ年代でも違うものが使われている事もあるそうです。これからトライされる方には、向こうにパーツを送り込んで合わせて作ってもらうか、ラフカットのものを入手して、こちらで削ってあわせてもらうか等の方法をお奨めします。

このリムに、NewGibsonフランジ/McPeakeトーンリング/RecordingKingオリジナル5弦ネックで組み上げましたが、思ったよりも太目のしっかりした音が、ネックの上から下まで全域で安定して出ています。Gibsonリムのときに感じていた音の暴れや強く弾いた時の音の潰れはありません。まとまり過ぎていて、もう少し広がりのある音が欲し気もしますが、経時変化もあるでしょうから、これからが楽しみです。

 ちょっと測ってみました...ウッドリム&トーンリング編

職場の大きなデジタルノギスをちょっと拝借して、ウッドリムとトーンリングの寸法を測ってみました。

Wood Rim
TB75 Conversion
リムの外径 A=270.12mm B=271.10mm
リムの内径 C=240.55mm D=241.68mm
リング装着部の外径 E=275.04mm F=275.70mm
リング装着部の幅 G=17.0〜17.2mm
リム底部の幅 H=14.7〜14.8mm
リング装着部の高さ I=10.3〜10.4mm
リムの高さ J=54.76mm
ロッド方向を縦方向とすると、横方向に1mm程度広がっていますね。
NewGibson RB-4 Reissue(RecordingKingに装着)
リムの外径 A=272.03mm B=272.12mm
リムの内径 C=241.10mm D=241.20mm
内側、外側それぞれの誤差は、なんと0.10mm以内!凄い精度ですね!
Tone Ring
Huber Vintage Flathead Tone Ring (Triple Gold)
リム上面との接合部の内径 K=241.17〜241.24mm
リングの内径 L=275.68〜275.72mm
リングの外径 M=279.32mm
リム上面との接合部の高さ N=20.2mm
リングの高さ O=30.24mm

[付記] リム上面との接合部の高さ(N=20.2mm)はハイトゲージでの測定ではないので、正確な値ではありません。参考値にとどめてください。
当然のことながら、縦横の寸法の誤差はほとんどありません。

このリングをTB75改のリムに装着した場合、現在は横方向に広がっているために、その部分の嵌め合いで幾分抵抗を感じますが、変形を直した場合、全周で0.3mm程度の隙間が空く事になります。また、「O-N=約10mm」に対してリムのリング装着部の高さが10.3〜4mmありますから、これも全周にわたり0.3mm程度の隙間が開きます。これでは、あまり相性としては良くはないですね。
Gibson Reissue 20-Hole Tone Ring
リム上面との接合部の内径 K=241.10〜241.20mm
リングの内径 L=275.88〜275.94mm
リム上面との接合部の高さ N=20.13mm
リングの高さ O=30.25mm

[付記] リム上面との接合部の高さ(N=20.13mm)はハイトゲージでの測定ではないので、正確な値ではありません。参考値にとどめてください。
上記のHuberリングと比べるとリングの内径は0.2mm程度大きいのですが、リムとの嵌め合いはこちらの方がキツイです。これはGibson Reissueリングは内部にほんのわずかですがテーパーがついていて、上に行くほど狭くなっているためと思われます。

 トーンリング揃い踏み

トーンリングタップトーンの周波数分析画像は、BANJO MANIACS BBSの「いのべさん」にご提供いただきました。
  
トーンリング3本の揃い踏みです。上がHuber Vintage Flathead Tone RingのTriple Gold、左下がGibson Reissue 20-Hole Tone Ring、右下がMcPeake Pre-War style Toneringです。
Huberリングの内側です。「HUBER 121198.8」の刻印が確認できます。購入が1998年12月はじめですから、「98年8月製」と言う事でしょうか?...と言う事は1211本目!?
 Huber Vintage Flathead Tone Ring(Triple Gold)のタップトーンが聴けます

HuberRingタップトーンの波形分析画像(いのべ様ご提供)

McPeakeリングの内側です。「CM 095」の刻印が確認できます。「CM」はCurtisMcPeakeのイニシャルでしょうから、通算95本目ってことでしょうか?
ちょっと見にくいですが、反対側にはこんな刻印も確認できます。「W」の上に「RK」の文字が丸で囲まれています。これは1992年以降のGibson Reissue(Klish)リングに刻まれているRichardKulishのイニシャルを表した刻印と同じものです。McPeakeは自身のリングを一時「McPeake-Kulish Tonering」と読んでいた時期があり、その後「McPeake Tonering」と呼び方を変えたようですが、実は「McPeakeリング=Kulishリング」という仮説の裏付けになりますね。
 McPeake Pre-War style Toneringのタップトーンが聴けます

McPeakeRingタップトーンの波形分析画像(いのべ様ご提供)

Gibson Reissue(Kulish)リングの内側です。トーンリングには、「A」と「F」と「P」を合わせたような記号の後に「H 672」と刻印されています。これはKulishの家業の鋳物工場「アンティフリクションプロダクツ」のロゴマークだと思います。上記の「RK」と「W」の刻印はありません。となると、KulishがGibsonと契約した1987年から1991年半ばに会社を手放すまでの間に作った約3000個にあたりますね。その後1992年からがイニシャルのRKにWを下においたものです。
 Gibson Reissue 20-Hole Tone Ringのタップトーンが聴けます

GibsonRingタップトーンの波形分析画像(いのべ様ご提供)

 TB−75 Conversionのパーツ

バラバラになってしまった!?TB-75コンバージョンです。
たぶんオリジナルだと思われるPrestテールピースの裏面です。シールが貼られて、ペン書きで何か書かれていますが、なんて書かれているか判読できません。
リゾネータ内部に書かれた「T.H.M.」という文字です。前のオーナーであるTomMcKinney(高級手作りカポで有名)のイニシャルだと思います。左下がりの「T」の文字が特徴的です。
ネックのヒール、ポットとの接合面に書かれたサインです。これもTomMcKinneyの手書きサインですね。特徴ある「T」の文字がリゾネータ内側の物と同じです。

 Recording Kingのパーツ

RecordingKingのオリジナル5弦ネックには、ヘッドストックの裏にロット番号が刻印されています。少々読み取りにくいですが「DW−1774」と確認できます。PrewarGibsonのシリアル番号のページには、残念ながら記載はありませんでした。
RecordingKingのウッドリムです。トーンリングとの接合面に「RB-4-Wal 2038」とペン書きされてます。これがNewGibson RB-4 Reissue用に作られたウッドリムをMcPeakeが流用したことを示しています。
現在はオールドウッド・リムに換装されています。

 前のページに戻る

 トップに戻る

inserted by FC2 system